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NHK「チベットからの亡命」

ヒマラヤを越えた子供たち


NHKがチベット問題を取り上げてくれた。
中国による生々しい人権蹂躙の実態をストレートに取り上げるのではなく、かなりソフトな表現にはなっているものの、重要なポイントは語ってくれていた。
これを放送するのは危険で勇気のいることだったと思うが、NHKの中にも言論人、放送人として、この問題を避け続けるわけにはいかないという認識を持ち、実際に行動してくれた人たちがいる、というのは心強い。
この後かなり強い圧力が中国からNHKにかかるのは確実である。いろいろなしがらみから真正面から中国と対決するのは困難だとしても、巧みにかわして第2弾、第3弾を放送し、民放がフタをして国民に知らせようとはしないチベット問題を、多くの日本人に伝えてほしい。

この放送は、記録として残すべき歴史的な出来事なので、このページに内容を収録しておく。


国境を越えるチベットの子供たち
NHK総合が2008年6月29日に放送した「海外ネットワーク」特集「国境を越えるチベットの子供たち」。番組進行は長尾香里キャスター。

2008年6月29日18:10〜18:45放送
NHK総合「海外ネットワーク」特集「国境を越えるチベットの子供たち」


チベット亡命政府の拠点があるダラムサラ。ここには、約8,000人のチベット難民が暮らしている。ラサから直線距離で1,400km、その間には6,000m級のヒマラヤ山脈がある。そのヒマラヤを越えて、毎年400人の子どもたちが亡命している。
ここでは、中国では満足に受けられないチベット語やチベット文化の教育が受けられるからだ。
NHK国境を越えるチベットの子供たち
ダラムサラ

中国では禁止されているダライ・ラマの肖像に祈ることもできる。
ダライ・ラマの写真

下の写真の子供たちは皆、親と別れ、ヒマラヤ山脈を越えてきた。雪山を歩いて越える過酷な旅。凍傷にかかって指を失う子供も少なくない。それでも亡命するのは、子供だけでも、中国の影響を受けずにチベット文化を守っていって欲しい、という親たちの切実な願いがあるからだ。
国境を越えるチベットの子供たち

亡命してきた子どもたちが描いた絵の多くは、中国での辛い体験や、ヒマラヤ越えの苦しい体験が描かれている。
銃で武装した中国人の警察。撃たれて血を流す人もいる。
チベット子供村の子供たちが体験したことを描いた絵
チベット子供村の子供たちが体験したことを描いた絵。ヒマラヤを越える子供たち、連行される僧侶が描かれている。
手足を鎖でつながれた僧侶、家宅捜索を受ける家
手足を鎖でつながれた僧侶、家宅捜索を受ける家、チベット旗を掲げたチベット人に銃を向ける中国警察等が描かれている。
ヒマラヤ越境者を銃撃する警察
越境する子供たちに銃を向ける中国の警察。
ヒマラヤで中国の警察に撃たれて血を流す人を生々しく描いている
ヒマラヤで中国の警察に撃たれて血を流す人を生々しく描いている。

ガン・ツォさん18歳。中国の銃撃を受け、75人いた仲間のうち、亡命できたのは半分ほどだった。

「隠れた私の頭の上を銃弾が飛んでいきました。みんながどこにいったのかわからなくなって、撃たれた人は背中から胸に貫通していました。」
国境を越えるチベットの子供たち
銃撃された様子を語るガン・ツォさん。ヒマラヤで仲間が次々と射殺された。

下の絵は、亡命する途中で中国の警察に捕まった子供が収容所の様子を書いたもの。半月間収容され、警察の尋問が続いたという。
ツェリン・ノルブ君が描いた収容所の様子
ツェリン・ノルブ君が体験した収容所の様子。拷問の様子も描かれている。彼は半月も尋問を受け続けた。中国の警察は相手が子供であっても容赦しない。


この絵を描いたのは、ツェリン・ノルブ君14才。
釈放されたあと再び亡命に挑戦し、2カ月前、ダラム・サラにたどり着いた。

「収容所では質問にうまく答えられないと殴られるんです。ここに亡命してきた後も、恐怖は消えませんでした。」

夜明け前の午前4時、ツェリン君の1日は勉強で始まる。夢はチベットにもどって教師になること。経済的な理由もあって、中国ではほとんど学校にいけなかった。しかしここでの2カ月の猛勉強で英語の朗読ができるようになった。

国境を越えるチベットの子供たち
子供たちは朝の4時から、1日12時間勉強する。もう会えないかもしれないと思いつつ、親は子供たちを送り出した。子供たちもその親の気持ちを受け止めて、死の危険を冒して命がけでここに来た。だから彼らには強い目的意識がある。勉強して、勉強して、立派な人間になって、チベットを支える人間になるんだ、という目的意識だ。

まわりでは他の子どもたちも勉強している。
1日の勉強時間は12時間。亡命させた親の期待に応えようと必死だ。

「チベットでは中国人がすべてを握っていて、勉強するにも何をするにも自由がありません。ここはチベットの人がたくさんいて、環境も整っています。」

ツェリン君は近くのチベット仏教の寺院を訪れた。中国に残った両親の無事を祈るためだ。
両親に会うには、親が亡命してくるか、自分が再び危険を冒してヒマラヤを越えるしかない。
寺院にて父母の無事を祈るツェリン君
寺院にて父母の無事を祈るツェリン君。


最近ツェリン君が描いた一枚の絵。 チベットの青く澄んだ空。のんびりと草をはむヤク。小さな家でツェリン君を待つ両親。
ツェリン君が遠く離れた故郷に思いを馳せて描いた絵
ツェリン君が遠く離れた故郷に思いを馳せて描いた絵。のどかで幸せな空気のにおいが感じられる絵だ。
小さな家でツェリン君を待つ両親
小さな家でツェリン君を待つ両親。きっと両親にはツェリン君の気持ちが届いているはずだ。

「これはお父さん、お母さんと暮らしていた頃のふるさとの絵です。ここで一生懸命勉強を続けていれば、お父さん、お母さんに会えると信じています。」
国境を越えるチベットの子供たち
恐ろしい体験をしていても、未来に希望を抱いているツェリン君。無邪気な子供の目とはまた違う、きれいな目をしている。

長尾香里キャスターのコメント
「親との再会を夢見て、その願いが叶うことはなかなかないと言います。
中国政府は亡命した人たちに、チベット自治区に戻るよう呼びかけていますけれども、その条件としては、チベットの独立運動に関わらないことを求めているために、亡命した側にしてみれば、応じられない、というのが現状だからです。
家族が離ればなれになっても、チベット民族の文化と歴史を守ろうという決意が、親にも子どもたちにも滲んでいます。」



管理人コメント

チベットは細密な仏画の伝統のある国だが、子供たちの描いた絵を見る限り、チベットにいたときには、ほとんど絵を習う機会がなかったように思われる。しかし、彼らは心に強く焼き付いたものを描いているので、その絵のインパクトは非常に大きい。

子供の教育のことを考えれば、親は幼いうちに亡命させたいだろうが、幼いほど、手足を失う危険、死の危険が高くなる。亡命する子供たちの中に比較的年齢の高い子供もいるのは、そういう親の葛藤もあるからなのだろうと想像する。

彼らの勉学に対する意欲は恐ろしいほど高い。失ったものを取り戻すために、子供たちがやらなければならないことは勉強だと自覚しているからだ。子供たちは身内の誰かを中国人に殺され、自分たちも亡命途中で死の恐怖を味わい、間近で仲間が射殺されるのを目撃している。国が亡くなるということはどういうことなのか、彼らは身をもって体験している。

長野の聖火リレーで逮捕された亡命チベット人2世、タシィ・ツゥリンさんも、難民学校で勉強し、世界で活動するために、6カ国語をマスターしたエリートである。彼は「国が自分に何をしてくれるかじゃなくて、自分が国のために何をできるかを、私は考えている」「チベットの自由を取り戻すためだったら、私は死をも恐れない」と述べている。彼のような志をもった優れた人間が次から次へと出てくるチベットの社会は、未来に希望がもてる。国家にとって一番の重要な資源は人だからだ。

では日本はどうか。「国家百年の計は教育にあり」という言葉自体、聞かれなくなった。諸外国とは異なり、「国のために」という言葉は日本では禁句となっている。多くの人々から「国のために」という思考が抜け落ちてしまった。そういう人たちが、矮小な集団の利益のために、この国の制度をいじってきた。教育を含むあらゆる分野で、国益が優先されず、ただただ税金のぶんどりが行われ続け、国や地方自治体の財政は破綻寸前の状態に陥っている。
そして、憲法により、国を守る気概を表明できない我が国の首相は、国民が拉致されても、核で恫喝されても、資源を盗掘されても、何も手を打てなかった。ただ言われるまま金を出し、謝るだけの、全方位土下座外交を実践してきただけだ。
日本は島国という国防上恵まれた環境にあった。だが、急拡大する中国の脅威に直面している今日、一刻も早く、今のチベット人のような気概を日本人がもたなければ、いずれ日本はチベットよりひどい状況に陥ることになるだろう。


このような良い番組を放送してくれたNHKに、ぜひ賞賛のご意見をお送り下さい。
NHKへのご意見・お問い合わせ
番組名:NHK 海外ネットワーク  2008年6月29日放送「特集 国境を越えるチベットの子どもたち」


参考サイト

チベットNOW 「NHKの話/中国当局チベット人36人をWANTED」「続NHK/「チベットを救え!アジア・パシフィック公開フォーラム」
チベット武力弾圧 目撃者の証言 2008年6月23日に「おはよう日本」内で放送
ぼやきくっくり 5/19放送「ムーブ!」 独立叫んで長野市で逮捕…20日ぶりに釈放された亡命チベット人の思いは
教育を求めて、ヒマラヤを越える子供たち DVDの紹介
チベット子ども村(TCV)をご存じですか? チベット子供村の子供たちの里親(スポンサー)を募集している。またチベット子供村に直接、子供服等の物資を送る方法も紹介している(慢性的に子供服が不足しているそうです)。
チベットの教育事情 ダライ・ラマ法王日本代表部事務所
Tibetan Children's Villages チベット子供村の詳細を知りたい方はこのサイトをご覧ください。"Picture News"で子供たちの様子がわかります。

2008.07.02



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